「I love you」(訳: )
突然だが、あなたは「I love you」をどのように訳すだろうか?
普通に訳せば当然「私はあなたを愛しています」である。
歴史に名高い作家夏目漱石が英語教師をしていた頃、「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳した、というのは有名な話。
月と一括りに言っても満月や三日月、半月と見え方は様々。
夏目漱石の言った「月が綺麗ですね」の「月」はそのどれを想定したものだったのだろう。
まあるく金色に輝く満月だろうか。
控えめに淡く夜空を照らす三日月だろうか。
それとも…………
近年の流星くんは、グループ内での役割で言えば、コンサートの演出・構成担当としてメインで動くことが多くなった。
いわゆるプロデューサー、ディレクション。
5周年イベントにツアー、二大ドーム公演、DREAM IsLANDなにわの日合同ライブの他にはんぶんこのMV作成等、奇しくも延期・中止になってしまったものもあれど、流星くんが演出に携わったものは最近でもこんなにたくさん。
演出・構成担当って、役回り的に裏方であまり目立たない上にそれらを作り上げるまでにきっと相当な時間が必要で。
メンバーやスタッフさんとのコミュニケーションも人一倍取らないといけない立場だと思う。
多くの時間を割いて内々で動いてくれている、ということは本人やメンバーからの言及、もしくはドキュメンタリー映像などが世に出されない限り私達は知り得ない。
デビュー初期の流星くんといえば、望くんと二人でビジュアル担当。
確かに容姿端麗、背も高くてスタイル抜群。お決まりのツイン芸もあるくらい。ジャニオタの間では浸透してると思う。
しかし最近はメンバーからだけでなく、雑誌等でもプロデューサーという面に焦点を当ててもらえることが多くなってきた気がする。
誰もが認めるほどに、あんなにも整った容姿を持っているのに自分から前へ前へとは行こうとしない。
それは自ら手掛けた演出の中でも同じで。
グループを客観視して、この曲では誰をメインにしたほうが良い、とか、このコーナーでは誰の得意なことを取り込めそう、とか、そういうことを考えてる。気がする。自己プロデュース力もピカイチ。
押し引きのバランス感覚に信頼しかない。無駄なものもなければ足りないものもない。
それでいてファンの求めている以上のもの、想像していた数億倍のクオリティのものを見せてくれる。
メンバーからの信頼も厚く、ファンの心もしっかりと掴んでいることは間違いない。
今年の3月14日、望くんと一緒に出演したメレンゲの気持ちで、流星くんは「ライブの構成とかやらせて頂いてるんですけど、ずっと曲が頭の中に流れちゃってたりで寝れない」と話した。
その約一ヶ月後のりゅうせいのじゆうちょうでは、ツアーが延期されたことに触れ、家ではドーム公演について考えていたこと、おうち時間が長い分考える時間もたくさんあるから面白いものを作るので楽しみにしていてほしい、と記した後、「おうち時間長すぎて逆に考えて考えてわからなくなるかもやけど笑笑」と続けた。
POTATO7月号では「ライブの準備とドラマの収録がかぶってたから、頭も体も使いっ放し。頭がパンクしそうになったときは、いったん考えることを全部やめてみた。で、気分転換になんとなく嵐さんの『~voyage』を見始めたら、めちゃくちゃ打ち合わせをしてる松本潤くんが映ってて。「あ、人のを見てる場合ちゃうわ!考えよ!」って、5分でまた作業に戻った(笑)」とも。
JJ5月号で神ちゃんが「(流星は)高い完成度を目指してるのが伝わるし、四六時中ライブのことを考えてんねやろなって。」と言っていた意味が、流星くんの言葉を繋げていってようやくわかった気がした。
正直、メレンゲの気持ちの発言を聞いたときもブログを読んだときも、「どれだけ働いてるの?休む暇ある?キャパ超えてない?」と心配になった。
もちろん全部一人で担当しているわけではなくてスタッフさんやメンバー、プロの方々の力を借りてということもわかってはいるけれど。
私には到底想像もつかないであろう仕事量に、脳内で藤井流星双子説とか繰り広げたりもした。(アホ)
それくらい、アイドル藤井流星とプロデューサー藤井流星って、当たり前だけど同じ人物なのにどこか乖離してるようなそんな感覚に陥らされる。
流星くんは至るところでこう言う。
「ライブを作るのが好き」と。
「好きこそ物の上手なれ」
なんて言葉があるけれど、正直好きだけじゃどうにも難しいことって世の中にはたくさんあると思う。
好きでやっていたはずのことが頑張りすぎた結果嫌いになっちゃったり、好きなのになんか上手く行かなくてもどかしくなったり。そういうことってあると思う。
仕事となると責任も生まれてくるわけで。中途半端に引き受けて飽きたからと言って途中で簡単に投げ出すこともできないし。
ショーを勉強するためにプライベートでラスベガスまで行ったり、先輩のコンサートのリハーサルを見に行ったり、その公演本番を見る為に名古屋まで足を運んだり、海外のLIVEも見たいと先輩に「一緒に行っても良いですか?」と連絡してついて行ったり。
行動力とそこに付随する弛まぬ努力は、「好き」が前提で原動力になっているのだろうなぁと思うと同時に、「好き」を突き詰めて自分の強みにできるところがかっこいいなぁと思う。
そしてその「好き」の熱量が「ジャニーズWESTのライブを作ること」に向けられていることが、私には堪らなく嬉しい。
流星くんが自らを「アイドル」と名乗るのが好きだし、新曲やコンサート、個人仕事等何かを発表するときに「良いものになると思うので楽しみにしててね」と言ってくれるのが好きだ。
コンサート中、自分に向けられたうちわに反応する優しい表情が好きだ。
思い出を大切にして、ときにそれを投影した演出を作る。新しいことへの挑戦も忘れない。そんな流星くんが大好きだ。
流星くんもファンと同じようにあの空間を心待ちにしてくれているのだろうかと思える、そんな夢見心地な瞬間がかけがえのない宝物のようで、ずっとずっと大切にしたくなる。
流星くんはプロデュース業も含めてアイドルを楽しんでやってくれているのだろうな、と実感できるその瞬間が堪らなく愛おしい。
「目標を口に出すとプレッシャーになってしまうから」と不言実行で、何かを成し遂げた後でも言葉少なな流星くんを、私は尊敬して止まない。
簀の子の下の舞。縁の下の力持ち。陰の立役者。能ある鷹は爪を隠す。
裏側のお仕事をするときの流星くん、爪どころか全身隠してる。爪くらい見せてほしい。できれば鼻も。
以前、重岡くんが流星くんにこんなことを言っていた。
(流星は)言葉選びが上手やと思う。ある程度引っ張っていかなあかんから巻き込む力というか、その気にさせる力というか、でも自分の意見ばっかり押してもなんやねんってなるし。リスペクトみたいなところも持たせつつみたいな。なかなかできへんことやと思う。何より自分のやりたいことを上手いこと流星の考えたことに落とし込めようとしてくれた。「お前の好きにやってええぞ!」っていうスタンスがある中で上手いことやってくれた。
当の本人たちは覚えてないらしいけど、Jr.時代演出のことで意見が合わず、掴み合いになるくらいの大喧嘩をして神ちゃんや大倉くんに止められた二人。
当時はお互いに譲れない部分もあったのだろうけど、きっと今まで幾度となく繰り返されたであろう話し合いの中できっと意見がぶつかることもあって、そんな中で「一人ひとりをちゃんと尊重して、否定せず、しっかりと意見を聞くこと」という流星くんがライブ作りをする上での心掛けが自然とできてきたのかなぁ、と。
掴み合うほどの大喧嘩して覚えてないってそんなことある?と思うけど。DONAI??
重岡くんが流星くんを「言葉選びが上手」と言ったけれど、望くんも以前ラジオで「流星今めっちゃ言い方考えてるなとか思うけど。話し合いのときとか。」と言っていて。
流星くんの言葉選びって本当に誰も傷付けなくて優しい。ファンに向けての言葉もそう。「そこに気がついてくれるんだ」っていう細かいファン心理に気づいて言及してくれることが多い。
それっていろんな角度から物事を見て、それぞれの立場になって考えないとできないことだと思う。心掛けていても意外と難しい。
ラジオでリスナーから相談メールが来たときもよく「そうやなぁ」「わかるわぁ」と共感の言葉を述べてから自分の意見を話しているのをよく聞く。
優しくて寄り添い力が高いところも流星くんの尊敬するところの一つだったりする。
1993年8月18日。
流星くんが生まれた日。
この日は新月だったらしい。
月が太陽と重なって隠れて見えない日。
自分一人が輝こうとするんじゃなくて、全体が輝くにはどうしたらいいか、光るにはどうしたらいいかっていうのを常に考えてるかもしれないですね。
2年前、ラジオ内で流星くんのお誕生日をお祝いした流れで濵田さんが言ってくれた言葉。
流星くんは新月みたいな人。
新月の日は月明かりがない分星がよく見える。
メンバーの良い部分得意な部分をより際立たせるために、グループ全体が輝くために、時間をかけてゆっくりと準備をして、それでいて何も言わずじっと次に自分が輝くタイミングも待つ人。
誰にも見えなくても、本人が隠れたがっても、私は新月を見つけたい。見つける。
私は流星くんへの「I love you」をこう訳す。
「私には新月が一際眩しく輝いて見えます」
お誕生日おめでとう。